2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

聡明な人間なら 自分の様々な利得を正しく序列化し 一つずつ順に処理して行く筈だ 処が我々は貪欲にも一度に沢山のものを追い掛け回すから 大抵 其の順番が狂って仕舞う 人は全く取るに足らないものを懸命に追い掛けて 肝心要な物を取り逃がして仕舞う

思慮深さには有ら得る賛辞が与えられる だが其の思慮深さと雖も 物事の成り行きや結果について 我々に何一つ保証しては呉れないだろう

我々が嘘を激しく非難する時 其処には大抵の場合 自分の証言を大いに信用させ 宗教的な畏敬を持って 自分の言葉を聞く様にさせたいと云う下心が働いている

誠実さとは心を開く事である だが其れは滅多に見られない 普通に眼にする誠実さとは 他人の信頼を得る為の巧妙な策略に過ぎない

人の幸と不幸は 運にも左右されるが 其の人間の気質にも左右される

何んなに不幸な出来事でも 賢い人間なら 其処から何等かの利得を引き出すが 何んなに幸運な出来事でも 迂闊な人間は 其れを禍にして仕舞う

人は頻く大事業を成し遂げたと自慢するが 其れは大抵の場合 遠大な計画の結実等ではなく 偶然の産物に過ぎないのだ

社会的地位を築く為に 人は既に社会的地位を得ている様に見せかける可く 有ら得る事を遣って退ける

嘗て自分が褒めていたものを 何時の間にか貶す様になっている事に不図気付く 其んな時程我々の自己満足が萎んで仕舞う事はあるまい

自分には取り柄があると信じる人間は 不幸である事を誇る 其れは他人に 其して自分自身にさえ 自分は運の犠牲となるに 値する人間なのだと思わせる為である

人は誰も当人が想像する程幸福でもなければ不幸でもない

本当の喜びは 好きになる事にあるのであって 事物の中にあるのではない 人が幸福になるのは 自分が好きなものを持つ事に因ってであり 他人が好ましいと思うものを持つ事に因ってではない

人間は何かに動かされている時にも 自分から行動していると思い込むものである 知性によって或る目的に向かっている心算でいても 何時の間にか意が別の目的に向かわせている

惰性は何の意味合いも持っていない 何の価値も存在していない 既に窮屈になった其の場所は 唯だ隙間を埋めることにしか興味がない

精神力を胆力に替えて突き進むことができるだろうか

言葉を出し切ることはできない 言葉を紡ぐ事も出来ない 言葉は余りにも現象を説明していない

惜しみなく自分に与えるには惜しい

偽善的な贋物の優しさに包まれた世界で 自分の人生を肯定しながら人生を全うしていくなんて 何と素晴らしい人生なのだろうか

死刑執行撚り重大なものはない 或る意味では、其れは人間にとって真に興味或る唯一の事なのだ

新聞は屡社会に対する責務と云う事を語っていた。 新聞に因れば其れは償わなければ為らないのだ。 然し、其れは想像力に語り掛けない。 大切なものは希望の一切の機会を与える所の逃亡の可能性であり 無慈悲な儀式の外へ飛び出す事 狂人の様に疾走する事だっ…

弁護士の陳述を聞く前に 貴方の加罪行為を呼び起こした動機を判然して貰えば幸いだと言った。 私は早口に少し言葉を縺れさせながら 其して、自分の滑稽さを承知しつつ 其れは、太陽の所為だと言った。

牢獄に居ると時の観念を失って仕舞う と云う事を確かに読んだ事があったが 此れは私には大した意味を持たなかった。 如何して、日々が長くて同時に短くなるのか 私には解かって居なかった。 勿論、生きて行くには長いものだが 酷く膨れ上がっているので 日々…

健康な人は誰でも、多少とも、愛する者の死を期待する物だ

若い時には随分嫌いな物が多かった。 何が嫌いだ、と主張する事は簡単で、気持ちが良い。 本当に嫌いだった訳ではない。 嫌いだと思い込む事で自分を確保出来る。 其んな幻想があった。 何かを嫌いに成る事は、軟弱な自分には都合が良い。 若者は皆、好きな…

人生って如何して此んなに屈折しているんだろう。 兎に角、真っ直ぐじゃない。 ストレートに流れない。 何故なのだろう。 皆編み物の毛糸みたいに曲りくねって お互いに絡み合っている。 行き着きたい所が、直ぐ其処にあるのに 態々回り道をして丸で其の苦労…

犬にとっては昨日も去年も同じだという。 過去の記憶は犬や猫には混然一体の物でしかない。 人間丈が時間の概念を意識し 或いは捏造し記憶を組み立て直す。 其れは懐かしさを錯覚したい願望からかもしれない。 何が変わるのか。 人間の概念か。

其れは丁度独りの画家が自分の書く人物の手や足や頭や 其の他身体の各部分を個々別々のモデルから持ってきた様な物で 各部分は見事に書かれていますが 一個の人体を作り上げる様にはなっておらず 均整が取れていない為 人間と言うよりは怪物を作り上げて仕舞…

人間はね、自分が困らない程度でなるべく人に親切がしてみたいものだ

本人の人格を汚す事は不可能だ どんな法律も人格を裁く事は出来ない 名前を裁くんだよ 肉体的な制裁は社会の全体意思を守る幼稚な約束行為に過ぎないね 損害保険みたいなものだ 殺人犯を死刑にしても 其の人間の人格に何のダメージも与えられない ダメージを…

本当に人間程宛にならないものはない