2022-01-01から1年間の記事一覧

観察された結果から原因を導く場合の理論と云うのは 大抵の場合後付けだ 自分や他人を納得させる為に後から補強された理論だ。 然し思考や発想の道筋は其れ以前に既に存在している。 理論なんて云うのは詰りは唯のコンクリート舗装か ガードレールみたいなモ…

最初の欲望を断って仕舞う方が其れに続く総ての欲望を満たすよりも遥かに容易い

我々が苦心惨憺しているのは幸福になる為というよりも 自分が幸福であると他人に思わせる為である

私欲は自己愛の塊である 魂の抜けた肉体は何も見えず 何も聞こえず 何も知らず 何も感じず全く動かないが 其れと同じで私欲から離れた――仮にそういうことが有り得るとして―― 自己愛も 何も見ず 何も聞かず 何も感じず全く動かなくなる 其れ故 私欲に駆られて…

我々の愛する人が我々を支配する力は殆ど何時も 我々が自分を支配する力よりも大きい

我々は 死すべき存在として有ら得るものを怖れるが 一方では 不死身でもあるかのように有ら得るものを欲する

誰もが自分は他人よりも一枚上だと秘かに思っている

人は他人の内心を見抜くのは好きだが 自分の内心を見抜かれるのは嫌う

自分の秘密を自分自身でさえ守れないのに 如何して他人に其れを護って欲しいと願うことが出来ようか

愛するのに飽きた時には相手が自分に不実を働くと 寧ろほっとする 誠実でなければならないという義務感から解放されるからだ

自分のうちに安らぎを見出せない人間は自分の外に其れを探しても無駄である

どれほど無能な人間にもできるもっとも賢明な振る舞いとは 他人のよき指導に素直に従うことである

美しいものの中には完全に仕上がってからよりも 寧ろ不意完全なままの方が輝いて見えるものもある

自分は気に入られていると思い込んでいると相手を不快にすること請け合いである

誰にも分け隔てなく注がれる善意と巧妙な処世術とを区別するのは難しい

模倣は常に失敗に終わる 本物なら人を魅惑したあらゆるものが 模倣された途端 誰にも喜ばれなくなる

嘗て危険に身を曝した事が一度もない者には 自分の勇気を請け合うことはできない

葬儀が華美になりがちなのは 死者に礼を尽くす為というよりも 生者の虚栄心を満足させるためである

謙遜は褒められることを嫌っているように見えるが 実はもっと巧く褒めてもらいたいと思っているのだ

親友が逆境に陥った時 我々は何時も何となく浮き浮きした気分になる

友人達の幸福を知った時に 誰もが最初に示す反応は喜びであるが 然し其んな喜びは 我々生来の善意から生まれたものでもなければ 我々がが彼らに対して抱いている友情から生まれたものでもない 其れは次は我々自身が幸福になれるだろうとか 彼らの幸福のおこ…

不幸な人は屡々 自分が不幸に見える事に或る種の喜びを覚えて 自分を慰める

人は自分が思っている程不幸である事は決してないし 自分が期待した程幸福である事も決してない

誰もが他人に見付けられた時分の欠点を 他人に見付けようとする

我々が怠惰なのは 肉体に於いてよりも 寧ろ精神に於いてである

女達は初恋では恋人を愛するが 次からは恋其のものを愛する

重大事に於いては チャンスを新たに作り出すよりも 今目の前にあるチャンスを生かす事に専念す可きである

我々は友人達の欠点を 自分に差し障りのない限りは 簡単に赦して仕舞う

恋の病では何時でも 先に直った方が勝ちと云う事に為る

有ら得る欠点の中で 我々が自分にあっても良いとあっさり認めて仕舞うのは 怠惰である 誰もが怠惰は総ての穏やかな美徳に結び付き 其の他の美徳も完全に破壊する事なく 其の機能を一時停止する丈だと思い込んでいるのだ