2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

愛する人に騙された儘でいる方が 騙された事に気付くよりも 不幸ではない事もある

人は自分の趣味を諦める位なら 自分の利益を諦める

男が恋人を愛しているのは 彼女自身の為だと信じているとすれば 其れは大きな間違いである

うんざりする事が赦されない人と一緒にいると 大抵うんざりする

普通我々が自分の心の底を友人達に明かそうとしないのは 友人達を信用しないからと云うよりも 自分自身が信用出来ないからである

自分に起こった事を ほんの細かい点に至る迄よく覚えていると云うのに 其の話を同じ一人の人に何度繰り返したか さっぱり覚えていないとは 一体如何した事だろうか

病気に治療を施す場合も其うだが 事業に改善策を施した場合 逆に暫くの間 事態が悪化して仕舞う事がある 其うした事態に対処する秘訣とは 治療や改善策を施すのが危険になる時期を 正しく察する事である

同じ一つの事柄を処理するのに 幾つもの方策を思い付くと云うのは 精神の豊かさと云うよりも 知性の光の欠乏の所為であり 頭に浮かぶ有ら得る考えに注意力が分散して仕舞い 最良の方策を直ちに見分ける事が出来ないのである

能く調べもせずに 悪を容易く信じるのは 傲慢と怠惰の所為である 人は大抵 罪人探しには熱心だが 罪 其のものを詳しく調べようとはしない

通常 人が若者に授ける教育とは 彼等に二番煎じの自己愛を吹き込む事に外ならない

敬意とは敬意を返してて欲しいと云う欲望 更には自分の礼儀正しさを評価して欲しいと云う 欲望に外ならない

欠点が能く似合う人もいれば 調書の所為で疎んじられる人もいる

本当の雄弁は 必要な事は総べて謂うが 必要な事しか謂わない

寛大さと見えるものも 大抵の場合 小さな利益は無視して 大きな利益をせしめ様と云う 野心の偽装に外ならない

偉い人達が自分を信用して呉れる事程 我々の自尊心を擽るものはない と云うのも 彼等が我々を其れなりの人間として 認めて呉れていると思い込むからである 処が其んな信用とは 殆どの場合虚栄心や秘密を黙っていられない 意志の弱さから生まれたものなのだ

友人達の不幸は自分の優しさを 彼等に示す絶好の機会を我々に与えて呉れる 我々は其の事に慰みを見出して 彼等が不幸である事をあっさり忘れて仕舞う

世に広く受け入れられている意見にさえ 頑固に反対し続ける人がいるが 其れは彼が無知だからと云うよりも 寧ろプライドが高いからである 正論派の上席は既に塞がっているから 最早先頭に立てないのが悔しい上に 殿軍になるのは絶対に厭なのだ

悲嘆の中にも様々な種類の偽善が潜んでいる 喩えば親しかった人の死を慎んで涙を流すと云う場合 実は我々自身の事を嘆いているに過ぎない事が多い 詰まり個人が我々に対して抱いていた好意を喪った事を 惜しんでいるのだ 其れは我々自身の財産 我々自身の喜…

自分の苦悩について 何んな言い訳をし様とも 苦悩を引き起こすのは 大抵の場合 私欲や虚栄心に外ならない

誰かから一度でも良い事をして貰うと 其の人が我々に悪い事をした時にも 恭しく其れに堪えなければ為らない

プライドは借りを作りたくないと謂い 自己愛は借りを返したくないと謂う

幸福な人達が自分を改める事は滅多にない 運が偶々自分の悪行の味方をして呉れているに 過ぎない場合であっても 相変わらず自分が正しいと思い込んでいる

受けた恩の借りを早く返そうと急勝になるのも 一種の恩知らずである

自分が施した恩に対して 期待した程の感謝の気持ちを 相手が示して呉れないと云うのは頻くある事だ 其れは恩を施した人間のプライドと 其れを受ける人間のプライドとの間で 其の恩の値段について 意見の一致を見る事が先ずないからである

感謝とは商人の律義さの様なものである 何れも其のお陰で付き合いが続く 実際我々が支払うのは 返済するのが正しいからではなく 貸して呉れる人をより容易く見付ける為である

完全な勇猛心とは 人前でならやれる事を 誰一人見ていなくとも やる事にある

人間は大抵の場合 人気や運の良さによってしか評価されない

流行の唄に似た人達がいる 彼等も亦 一時しか歌われない

誰の力を借りなくとも遣って行けると思い込んでいる人は 全く間違っている だが自分は社会に必要不可欠な人間だと思い込んでいる人は 其れ以上に間違っている

自分が犯した過ちを自分丈が知っていると云う場合 我々は容易く其れを忘れて仕舞う