2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

■

我々が新しい知り合いを好むのは 古い知り合いに飽きたとか 知り合いを変えてみたいとか云う事ではなく 我々を知り過ぎた人達が 我々を余り褒めて呉れないと云う事に嫌気が刺し 我々を能く知らない人達なら 我々をもっと褒めて呉れるだろうと期待するからで…

■

変わらぬ愛にも二通りある 一つは 愛する人の中に 愛する為の新たな理由を次々見付けて行く事であり もう一つは 心変わりしない事を 自慢したいが為に愛し続ける事である

■

好奇心にも色々ある 自分に役立つ事を知りたいと云う 欲得から生まれるものもあれば 他人が知らないものを却って自慢したいと云う 虚栄心から生まれるものもある

■

我々が義務を果たすのは 大抵の場合 怠惰や臆病からであるが 我々の美徳は自ら進んで義務を果たす事を誇りとする

■

世間は大抵真の価値よりも 価値あるらしく見えるものを持て囃す

■

長所を備えてい乍ら毛嫌いされる者もいれば 欠点だらけであり乍ら気に入られる者もいる

■

他人から支配されない様にするには 他人を支配するより難しい

■

我々が他人を褒めると 其処には毒が込められている場合が多い 詰まり他の仕方では 暴く事が憚れる他者の欠点を焙り出す様な 逆説的な褒め方をするのだ

■

我々は元々他人を褒めたい等とは少しも思っていない 其れ故 自分の利益に為らないなら 決して他人を褒めたりはしない 称賛は巧妙かつ狡猾に隠蔽された追従に外ならず 其れを与える人と其れを受ける人では 其処から得られる満足は全く異なる 称賛を受ける人は…

■

虚栄心が喋らせなければ 人は寡黙になる

■

自分に対して賢明である事よりも 他人に対して賢明である方が 寧ろ容易い

■

自分の情念を押さえる事が出来る場合も確かにあるが 其れは我々の意志が強いからと云うよりも 寧ろ情念が弱いからである

■

人が良い事をするのは 多くの場合 罰せられずに悪い事が出来る様になる為である

■

人が最初に裏切るのは 大抵の場合 裏切ろうと云う明確な意志からと云うよりも 弱さの所為である

■

我々は他人に自分を偽る事にすっかり慣れているものだから 最後には自分に対しても自分を偽る事に為る

■

忠告を求めたり 与えたりする事程 誠意を欠く行動は他にはない 忠告を求める者は 友の意見に恭しく聞き従っている様に見えても 実際には自分の意見に賛同して貰い 自分の行動の保証人になって貰う事しか考えてはいない 亦 忠告を与える者も 自分に示された信…

■

自分でも気付かぬ儘 自分を騙すのは容易いが 人に気付かれない儘 人を騙すのは難しい

■

女を愛すれば愛する程 其の愛は憎しみに近付く

■

忠告程人が気前良く与えるものは他にない

■

人間でも 事柄でも 其れを見るのに相応しい視点と云うものがある 近付いて見なければ正しく判断出来ないものもあるし 逆に遠ざかってみなければ 決してよく見える様に為らないものもある

■

知性は何時も心に騙される

■

嘗て知性と判断力は全く別物だと思い込んだ人は間違っていたのだ 判断力とは知性の光の大きさに外ならない 此の光が事物の奥底迄達して 気付く可き有ら得るものに気付き 感知出来そうにないものにさえ見抜くのである 其れ故 人が判断力のお陰だとしている 有…

■

日頃の付き合いで 人を喜ばせるのは 我々の長所よりも 寧ろ欠点である

■

人間は互に騙され合っていなければ 長く付き合ってはいけないだろう

■

人が友情と呼んでいるものは 単なる付き合い 持ちつ持たれつの関係 相互奉仕等でしかない 要するに其れは 互いの自己愛が頻りに何かをせしめ様と 企む取引に過ぎないのだ

■

我々が敵と和解するのは 自分の立場をよくしておきたい 闘いに飽きた 下手をすると負けるかも知れない 其んな理由からでしかない

■

沈黙は自信のない者が我が身を守る為の最も安全な方法である

■

恋も火と同じ様に 絶えず掻き立てられていないと生き続けられない 其れ故 恋は 期待したり 心配したりする事を止めると直に死んで仕舞う

■

恋は其れが及ぼず作用の大半から判断するに 友情よりも寧ろ憎しみに似ている

■

一度愛し合わなくなると 嘗て愛し合った事を 恥ずかしいと思わない者は殆ど居ない