永劫に続くわけもないことを 永遠のように錯覚している 日々衰え 喪われていく自分に対して 永久を信じている 消失の無自覚

理解出来ないことを 許容する程の包容力はないけれども 理解出来ないけれども享受するものもある

難しいことを むずかしいとは表現せず むつかしいと表現する貴女は優しい

我々は謎に満ちた世界に居る。 周りに見えるものを理解したいと我々は望み 此う尋ねる。 「宇宙の本性は何か」 「宇宙に於ける我々の地位は何か」 「宇宙と我々は何処から来たのか」 「何故宇宙は此の様に成っているのか」 此の様な疑問に答える為に 我々は…

空間と時間が境界の無い閉じた面を形成しているかも知れないと云う考えは 宇宙の出来事に対する神の役割についても 深刻な示唆を孕んでいる。 科学理論が出来事の記述に成功するにつれて 神は宇宙が一組の法則に従って進化するのを許し 此の法則を破って宇宙…

一般的に言えば、量子力学は或る一回の観測の単独の確定的な結果については予測しない。 其の代わりに量子化学が予測するのは起こり得る幾つかの異なった結果についてであり 其々がどの位起こり易そうであるかを教える。 詰り、同じ様に出発した多数の似た系…

俺もずっと走っている。 其う感じた。 何時からか解からないが、未だ走っている。 行き先に着く迄は走るのを止められない。 其うして、行き先には何時着くのか 其れが何処なのかは解からない。 何で俺は走り始めて仕舞ったんだろう。 脚力も持久力も、根性も…

感情と云うのは抑受動的なものだ。 怒りたいと思って怒ったり 笑いたいと思って笑ったりする事は 無いとは言えないが、普通ではない。 普通は色々な状況が重なりあった結果意図するか否かに関わらず 怒りが込み上げて来たり 喜びが込み上げて来たりする。

とは自己意識の感覚 生まれてから此れ迄 其して死ぬ迄自らが生き生きと自分の意識の事を振り返って 嗚呼此れが自分の意識だ。 と、実感し続ける事の出来る個人的な主体其のものの事だ。を振り返って 嗚呼、だと感じる再帰的な意味の状態の事だ

非常識な事だと必ず非難される。 其れは、一線を越えて仕舞う不届きな人間達の所為なのだ。 自制の利かない其の種の連中が世の中には存在する。 彼等は兎に角目立つ。 だが、彼らの異常性の本質とは 他人に対する熱心な興味にあるのではなく 相手の不快さを…

私は何より先に貴方と同じ様に人間であると信じています。 寧ろ人間に成ろうとしている所だと言った方が良いのかも知れません。 世間の多くの人達は貴方の方が正しいとするでしょうし 本にも其の様な事が書いてありましょう。 其れは私も良く存じております…

オリジナリティと云う物は胃袋の問題でしてね 他人の栄養分を食べて 其れを消化出来るか出来ないか 原型の儘ウンコになって出て来たんじゃ 一寸不味い。 消化さえすれば其れでもう大丈夫なんだ。 昔からオリジナルな文人なんて在った試しはないんですからね…

駅のプラットホームに立って やや遠い風景を眺め 其れから2寸3寸腰を低くしてもう一度眺めてみると 其の前方の同じ風景が丸で全然変わって見得る。 2,3寸背丈が高いか低いかに依っても其れ丈人生観、世界観が違ってくるのだ。 況んや君。 男体と女体では其…

世の中には明らかにしない方が良い事 其の儘にして置いた方が仕合せな事が沢山ある。 秋の山を歩いた事があるだろうか。 綺麗に色づいた落ち葉が 足元に敷かれた絨毯見たいに私達の行く先々を飾っている。 其の落ち葉の一枚一枚をひっぺ返して其の裏側を覗い…

どんなに興味深い会議でも終わると嬉しい。 其れと同じ様に どんなに苦しい恋愛も終わると寂しくなる。

大体ね。 親しい人と喧嘩になる時って云うのは全部其うなんだ。 意地を張って・・・。 お互いが自分は相手が期待する程立派な人間じゃないって思う。 厭に成る程自分に対して意地悪をして仕舞うんだ

観察された結果から原因を導く場合の理論と云うのは 大抵の場合後付けだ 自分や他人を納得させる為に後から補強された理論だ。 然し思考や発想の道筋は其れ以前に既に存在している。 理論なんて云うのは詰りは唯のコンクリート舗装か ガードレールみたいなモ…

最初の欲望を断って仕舞う方が其れに続く総ての欲望を満たすよりも遥かに容易い

我々が苦心惨憺しているのは幸福になる為というよりも 自分が幸福であると他人に思わせる為である

私欲は自己愛の塊である 魂の抜けた肉体は何も見えず 何も聞こえず 何も知らず 何も感じず全く動かないが 其れと同じで私欲から離れた――仮にそういうことが有り得るとして―― 自己愛も 何も見ず 何も聞かず 何も感じず全く動かなくなる 其れ故 私欲に駆られて…

我々の愛する人が我々を支配する力は殆ど何時も 我々が自分を支配する力よりも大きい

我々は 死すべき存在として有ら得るものを怖れるが 一方では 不死身でもあるかのように有ら得るものを欲する

誰もが自分は他人よりも一枚上だと秘かに思っている

人は他人の内心を見抜くのは好きだが 自分の内心を見抜かれるのは嫌う

自分の秘密を自分自身でさえ守れないのに 如何して他人に其れを護って欲しいと願うことが出来ようか

愛するのに飽きた時には相手が自分に不実を働くと 寧ろほっとする 誠実でなければならないという義務感から解放されるからだ

自分のうちに安らぎを見出せない人間は自分の外に其れを探しても無駄である

どれほど無能な人間にもできるもっとも賢明な振る舞いとは 他人のよき指導に素直に従うことである

美しいものの中には完全に仕上がってからよりも 寧ろ不意完全なままの方が輝いて見えるものもある

自分は気に入られていると思い込んでいると相手を不快にすること請け合いである