尊敬。

長らく、尊敬してきた独りの人間が居た。
僕は、彼を繊細で知的で論理的で素晴らしい人間性を持った人だと思っていた。
だから、僕に理解出来ない彼の美学も
素晴らしいものなのだと思い込んでいた。
だけれど、そうではなかった。
彼は適当で好い加減で強欲的で。
僕の尊敬していた、あの時の彼ではなかった。
しかしだ。
今の彼を尊敬できないとして。
過去の。
其の一点の彼を尊敬する気持ちに嘘偽りは無い。
だから、僕は何時までも何処までも
アノ、一点の彼を尊敬し続けるだろう。
現実の彼の存在に嫌悪しながら