夢。

僕は愛を知らないが故に
純粋に君を愛する事が出来る。
其れはとても残酷な事で悲しい。
君が笑う顔を横目に見て
其の真実を認める。
どんなに純粋に君を愛そうが
其れは僕の独り善がりで
終。自己満足に行き着く。
其の華奢な手を肩を目を心を。
僕には如何する事も出来はしない。
何となく解った。
当時、君が何を僕に伝えたかったのか。
今更、そんな事を知って
僕には後悔しか生まれはしない。
こんなにも僕は締め付けられる。
其の力は何時迄も僕を放しはしない。
丸で君以上の愛の対象は此の世には存在しないかの様な錯覚。
でも、僕は思うんだ。
君が目の前に来て
僕の手を惹いて此の先に連れて行ってくれても
僕は君という存在に満足して
君という実物に狼狽し嫌悪し苛立つ事を。
そうだね。
此れは空想なのだ。
愚かな僕の空想。
想像でしかないのだ。
過ぎた日を懐かしむ様に。
遠い昔を思いだす様に。
全ては空想なのだ。
想像なのだ。
全ては愚かだった。