悲しみ。

雨が降った後の空気
生命の息吹を感じ其れに感化されて
僕も生きている錯覚に陥る
静かに君の指先から毀れる旋律に耳を傾けて
生きている事に
無情の喜びと悲しみを見出す
両方が合わさって僕は涙が止まらなくなった。
一つは生きている事への感謝に
一つは生きている事への悲しみに
月が高くに昇り僕の手の届かない所へ逝って仕舞った
微かに吹く風に体を預けて
僕は何を思えば良いのか
今を生きる喜びか
今を生きる悲しみか
煙草に火を付けて紫煙を燻らしては
折角の夜が台無しだ
今日は止めて置こう
其して、ニコチンの力を借りずに
此の世に生まれ堕ちた不条理と悲しみに明け暮れよう
其れをニコチンで妨げてはいけない
何処か悲しみの奥深くに希望を携えている
君の旋律。
そんな所に僕は惹かれたのかも知れない
此の世に生きる事の無意味さを知った上での
希望に。
其の瞳に、其の思想に、其の声に
其して、其の存在に。