目の前。

太陽に手を翳すと赤く見えるのは太陽の所為だろうか
其れとも僕の体内に流れている血液の所為だろうか。
屹度、太陽の所為だ。
僕の醜い肉の塊の中に流れる赤い物は
こんなにも鮮やかではない
世の中に穢れて仕舞った色だ。
目の前に広がる空が蒼いのは
空の色だろうか
僕の眼の所為だろうか。
屹度、空が蒼いからだろう。
僕の眼は何一つ美しい物
素晴らしい物
本当も事を捉える事が出来ない。
目の前に居る君がこんなに愛おしいのは何故だろうか。
君の存在なのだろうか。
僕の妄想なのだろうか。
屹度、僕の妄想だろう。
僕の目の前に広がる光景は全て僕の意識が作り出したもの。
継ぎ接ぎで作った君の存在でしかない。
僕は有りの儘の君が何処かに存在するとして
其れをお眼に掛かる事は無い。
此処に居る君すら。
僕の偏見と妄想に拠って作り出されし画像なのだ。