あや?。

「私、貴方の御好きな様な恰好をして
 お好きな様な女に成るわ。
 銀座の真中を裸で歩けと仰言れば其うするわ」
其れから1日に10篇着替えて見せろと云えば
其れもすると付加えた。
然し、顕子は女が「御好きな様に」と云う時は
既に手遅れなのだと云う事を知らなかった。
顕子は明らかに不安に駆られていた。
自分が昇が好きだと云うその理由は明白過ぎる程明白だが
今では昇が顕子を愛する
確たる根拠が攫めなかった
此の不安には答が無く
問は谺になって帰った。
彼女は昇の内に彼の理想の形態を探していた。
知りたいと熱望した。
出来れば其の理想がぶら提げているハンドバッグの色合い迄も。