日陰を好んで太陽の光に飲み込まれて仕舞った少年。

其処に窓が有るのは
貴女が通った時に判る為
其処に扉が有るのは
貴女がノックをして呉れるのを待っているから
でも其の扉にはノブが付いていない
其れは貴女が来る筈もないと云う事が解っている
と、云う事以上に
貴女が来ても
僕は其の事実を自分で巧く受け入れる事が出来ないから
自分を生かしている理由と
自分が生きたい状況は矛盾しているから
だから扉を開けるのなら
其れは自分の自分が死を迎える事を意味する
死にたくないから扉を開けないのでは無い
実質的な死を以って
現象的な死を迎えられない事に因って
僕は自分の事を巧みに言い聞かすのだ
飴玉を欲しがる稚児の様に
しゃがみ込んで視線を合わせて
緩くりと言い聞かす
果たして結論は出るのかと諭す事に
必死の思いをしている