2013-12-12 漱石と草枕。 山路を登りながら此う考えた 智に働けば角が立つ 情に棹させば流される 意地を通とおせば窮屈だ 兎角に人の世は住みにくい 住み難さが高じると安い所へ引き越したく為る 何処へ越しても住み難いと悟とった時 詩が生れて 画が出来る 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない 矢張り向う三軒両隣にちらちらする唯の人である 唯の人が作った人の世が住みにくいからとて 越す国はあるまい あれば人でなしの国へ行くばかりだ 人でなしの国は人の世よりも尚 住み難いかろう