メール。

そして今日も僕は携帯電話を開いては
あて先の書かれていないメールを打ち出すのである。
せめて自分が平常心を保てる用にだろうか?
少しでも「当たり前」を取り戻したいが為の悪あがき。
多分そんなことだろう。
しかし、残念なことに今の僕にはそんな「今の僕の現状」を
冷静に分析できるほどの思考力と冷静さを持ち合わせてはいなかった。

僕の頭の中に残されている膨大な数のデータを分析し整理して、
そして現実を受け止めなければならないのだ。
僕はそんな事務的な作業に追われていた。
これがモシ夢で終わってしまうならばどれだけいいだろうか。
夢ならば今僕が行っている作業が全て無駄で終わってしまう
でも、そんなことは構わなかった。
全て、今携わっているデータの全てを削除してしまうよりは
なんてすばらしく、幸福なことなのだろうか。

いや。
データを削除すると言う表現は可笑しい。
何も記憶を消しているわけではない。
ただいまは、心の隅に追いやって他の思考の邪魔をしないように
整理しておくだけだ。

この情報を失うと言うのはあまりにも悲しすぎる。