昔。

昔に戻れるならばどんなに楽だろうか?
そう思うことがよくある。
それはこうなった結末を知っているから言えることなのかもしれない
幸いなことに「当たり前」と言う幸せをなくしてしまったことに
僕が気づくのはそう時間がかからなかった。

あれからさほど日にちを置かないうちに
僕にはそれがとんでもない失態であり
取り返しのつかないことにすぐに気づいた。
「当たり前」が「当たり前でない」のだから・・・

すぐに後悔の念が僕の心を埋め尽くし
そして僕を動けなくしてしまった。

頭を働かせるのもつらい
思考をするとおんなじことばかり繰り返し繰り返し
あたかも僕の頭にはそのデータしか記録されていないかのようだ。
そして、下す決断はいつも「後悔」であった。

全ての思考に何かしらの形でそのデータは付け足されており
観るもの全てに僕は【後悔の念】を抱かざるを得ない状況だった。

しかし、裏を返せば
その情報データはそれほどまで僕の頭の中で膨大な数備わっており
僕としてはとても珍しいことであると言ってもいいのだが。

今は、そんな流暢なことを考えている余裕もどうやらなさそうである。

特に反応もしていない携帯電話の画面を開いては
あて先の書かれていないメールを独りで打ち出し始める。

あれ以来の僕の日課だ。
いや、あれ以来と言うのは性格には間違いである。

ただ、送るあて先が書いていないのを除けば
いつもと何お変わりも無い。