少年心。

僕の左手が疼き始めたのは
いつだったろうか
林に出掛けることに厭き始めていた頃だった。
この世の中では人間はいつも特別扱いだった。
世の中は、天気・災害を除き全てが人間中心に動いていた。
そして、お金という共通価値の元で
今日も誰かは心乱し泣き叫ぶ
愛を知らない若者がスピーカーの向こうから
訳の解らない愛の定義を述べる
そしてそれに共感し涙流す馬鹿が居た。
この世界は全てがリアルでなくなった。
僕の世界だけ灰色で
そして僕だけ色が無い。
あえて僕の色を指すとするなら
「透明色」人間はこう曖昧表現で解った気になる
いつだってそうだ。
だからこの世の中はリアルでなくなった
天然で無い作り出した
嘘偽りのファッションカラーで塗りつぶし
これをカラーだと言い張る。
そしていつの間にかこの世界には
その色しか存在しなくなってしまった。
本当の色など誰も知らない。
僕は知っている。
でも知らない。
僕はこれが本当の色だと信じて疑わない
だけれどもこれすらも偽りの色なのかもしれない。
僕の手首から滴り落ちる鮮血。
この色に勝る色はきっと僕は出会えないだろう。
全ては生きる意味を求めた色だ。
この世から消えてしまいそうな
透明の中で僕が必死に見出した朱。
だけれどみんなは気が付いてくれない。
みんな偽りの色に酔ってしまっている。
人間は、本当に見たいものしか見ていないのだと気づいた。