未来。

小さい頃はハンバーグがご馳走だった。
いつだって空は青かった。
ラヂオから流れる音楽はとてもメジャーだった。
その頃はいつだって笑顔が回りにあった
家の近くにある蟻の巣は違う世界へのトンネルだった。
夕方に見えるおぼろげな月は未来への入り口だった。
宇宙なんて信じていた。
蛸が喋る火星人だって生きていた。
未来の道具を少年に貸すロボットだって。
地球を守るヒーローだって。
いつだって僕のそばに居た。
そして大人は魔法使いだった。
いつしか僕もそんな大人になるような気がして
楽しかった。
でも、その魔法の裏側には
とても汚くて残酷な世界が広がっていた。
未来の道具を少年に貸すロボットだって
地球を守るヒーローだって
そんなのは関係なかった。