仮想的世界。

僕の脳の中を駆け巡る麻薬物質。
時には気分を落ち着かせる
精神安定剤の働きをし
時には気分を高揚させる
鬱薬の働きをする。
外国で採れる葉を乾燥させ
紙で包んだだけのお粗末な麻薬。
そんな薬物が僕の精神を
そして肉体を依存させていく。
まったくの利益を齎すことの無い
損な事が解っていながら
こんなにも大量に世の中に出回っている。
少し外に出て
小銭を入れるだけで購入できる麻薬は
今となっては規制のしようが無い。
其れはまるでボタン一つで行ける
別な仮想的世界と同じ事だ。
通信機械の電源を入れ
ボタンを押せば
何時でも僕達は
別の世界へと行く事が出来る。
其処は想像以上に快適で
我々の住んでいる現実世界とは
比べ様が無い。
望む物が在り色々な物を手に入れる事が出来る。
そしてまた、其処には絶対に裏切る事の無い
絶対的な物も存在する。
仮想的世界には権力なんて言う物は殆ど存在せず
何時だって使用者を中心とした世界が広がっている。
好きな時に好きな世界に行って
手に入れたい情報を手に入れる事が出来る。
そんな夢のような世界だ。