レンズ。

空を飛べれば良かったのに。
そんな事を思う事が未だに在る。
幾ら逃れたって
僕の意識が肉体から解き放たれる事は
きっと、朽ち果てるまで無いんだろうね。
それでも構わないから少しだけ自由になりたいなぁ。
そんな事を思う事が在る。
人間が自由を求めれば平等が無くなり。
平等を求めれば自由を失う。
まるで、この2つはコインの表と裏のようだね。
自由な世界に憧れるけど
其の先には僕の知らない世界ばかりだ。
あの時のような特別のレンズがあれば
僕も少しは羽ばたけたのかも知れ無いんだけどなぁ。
未知の世界を旅するのに必要だった
魔法のレンズはいつの間にか亡くなってしまった。
何でだろう。
こんな筈じゃなかったのに。
今頃は何処でどうやって想い出を飾って
世界を旅していたんだろう。
もう僕のもので無くなった
魔法のレンズは静かに僕の机の中で眠っている。