電子手紙。

貴方からの電磁手紙を拝受した時に
私には其の内容が何であるか
凡その検討は付いていたのです。
だから、少しだけ。
今迄の余韻に浸る事を欲して
貴方への返事は
其れから月が三度顔を覗かせた後に
告げたのです。
こうなる事はあまりにも必然的過ぎて
僕の額に小さな雫を泳がせるには
少しばかり時間を拝借せねばなりませんでした。
其れでも、僕は自分を呪い悔やみ
今日に至るのです。
理解に苦しむ感情が体を停止させ
思考を停止させた。
再びコウの世界に引きずり込まれる事は
もう覚悟していたのです。
省みることの無い僕の行動からは
当たり前の事です。
そして、今でもこうして貴方の事を
想い出しては誰にも気づかれないように
こうやって雫を泳がせているのです。