泥濘。

昔、只毎日時が過ぎて
時間と云う概念が僕に無かった時
僕は生きる意味すら問う事が無かった。
周りは様々な可能性が存在し
僕は其の可能性に拠って生かされていた。
不図気が付くと僕の体は泥沼に埋もれ始め
身動きが取れなくなって仕舞った。
其れは様々な可能性を失った事を意味していたのか。
僕は、自分が今泥沼の泥濘に嵌まっている事に気が付いた時
如何仕様も無い息苦しさと生きる意味を問いた。
でも、幾ら悪足掻きをしても
所詮は、悪足掻き。
僕には如何仕様もなかった。
只、全てが埋まり
僕と云う極狭い世間一般的に認められている
醜い肉の塊が生命活動と云うものを停止し
腐敗しだすのを待つ丈だ。
僕は此の泥沼から這い出る方法を知っている。
でも、其れを実行する丈の勇気と
実行する対象が如何にも見つからない。
僕が其の行動を実行するには年を取り過ぎてしまった。
若し、其の僕の望む事が僕の中の狭い世間一般的
若しくは、其の対象に於いて認められる行為だったとしても
僕の意識は、其れを認めはしない。
自分の絶対的価値観に於いて
其れを断固拒否する。