旧友。

別に大した事なのだが。
今日、帰りの電車で何時もの通りに駅を降りる。
階段を上っている時に不図声を掛けられた。
本当に始めは誰なのか解らなかった。
中学時代に、不意に僕の暴言により
喧嘩別れをした儘だった知り合いだった。
嘗ては、彼の事を親友と格付けしていた事も或る程
仲がよかった。
今になって思うと、全て僕の悪かったことなのだが。
今更になって、アノ頃はゴメンな。
と、言われた所で
僕は只々、驚く事しか出来なかった。
何故、君が謝る?
何故、今更謝る?
何故?
そんな事をして、自己満足じゃないか。
そんなの、僕はオナニーのオカズにされただけではないか。
何がしたいの?
謝らなくてはいけないのは僕の方のはずなのに。
何も、僕は言えなかった。
只、呆然とするだけだった。
此の間見た悪夢は・・・
僕は。やっと少しだけ忘れ始めていたのに。
此の悪夢は君には全く関係のないことだけれどね。
君と、僕が親しくしていた第三者の人。。。
もう、思い出したくも無い。
あの様な悪夢は。
なのに。。。
やっと、日常の生活が出来ると思い出していたのに。
そんな事を思い出させないでよ。
だけれど、今日会えたのが君で良かった。
謝らなくてはいけないのは僕の方だ。
そして、君には感謝をしなくてはいけない。
今の僕は、未だ自分の人格・思考能力を気に入ってはいないが
アノ頃に比べたら大分増しになった気がする。
其れは君のお陰なんだよ。
君と言う親友を失った其の代償はとても大きかった。
本当に有難う。
今日であったのが第三者であったら
僕はキット後悔しただろう。
彼には死んでも会いたくは無い。
あの様なルサンチマンには。
僕の記憶から、心から
全てから消えて貰いたい。
でも、少しばかり
彼にも感謝をしている。
人を信じること、相談をすること、信頼すること、信用すること
友達と言う物、親友、人間。
全てを、奪ってくれた。
居場所すらもね。
彼のお陰で、僕は少しばかり生き方が器用になった。
人を信じない、相談もしない
友達、親友、そんな物は自己満足の幻想で
都合が悪くなれば何なりと利用する
自分の事しか考えないそんな生き物。
そんな事を教えてくれたね。
   
話は変わるが。
今日は、良い夢を見た。
久しぶりだな。
想い出にしていたつもりなのに
毎日のように呟く其の言葉の意味は
モウ本来の意味を持たない筈なのに。

   
なぁ。
今日は久しぶりに君の夢を見たんだ。
季節はクリスマスなのかな。
雨が降っていたんだ。
イルミネーションの綺麗な町並みを一緒に歩いていた。
僕は、毎日の様に君の名を呟く。
あれ以来、僕の日課なんだ。
だけれどね。
其れは、モウ君の事を思って呟くのではなく
只、誰かを恋しいと思ったり
愛されたいと思う代わりの言葉だったのに
何でだろう、今日は君の事が恋しくて仕方が無いんだ。
キット、こんな僕を見て君は嫌悪するだろうね。
何処までも女々しい僕は
君に何もする事は出来ない。
全て僕の幻想で良いんだ。
君には新しい恋人が出来たのだろうか。
僕はキット君の幸せを心から願う事は出来ないだろうな。
ごめんね。
キット、君の幸せを願うことが
君に出来る唯一の愛情なのかもしれないのに。
何も出来ないよ。。。
僕は、未だに恋しくて仕方が無いんだ。
君の温かさが、甘さが、笑顔が
本当は、君の泣き顔や怒った顔も見てみたかったな。
  
あぁ、神様。
貴方は何処までも残酷です。
僕の事を弄んで何が楽しいのですか。
もっと、楽しいはずです他の人間の方が。
僕はモウ充分です。
速く殺してください。
お願いします。