死刑執行。
意外に死刑執行迄の牢屋の居心地は良い。
暑さも其処迄感じない。
然し、刻一刻と近付く執行日。
僕は其れから逃れる事は出来ない。
仕方が無い。
どんなに言い訳をしても
あれは僕の意思で行った事。
自分の意思で行った以上
其の責任は僕が果たさなくてはいけない。
誰の所為でもない。
誰が悪い訳ではない。
只、僕が悪いのだ。
僕が存在しなければ良かった。
僕が存在しなくても良かっただろ。
世界にとって、社会にとって。
世の中にとって
何等不都合は無い。
何等不具合は無い。
居なかったら存在しなかったで
只の日常が繰り広げられるだけだろう。
僕等、必要は無かった。
僕が若し、此の先何等発見や発明をするにしてもだ。
其れは別に僕でなくても出来ただろうし。
其の発明や発見があったから
一体何だというのだ。
別にそんな事が無くても良かった筈だ。
人間が生きる意味なんてそんなものだろ。