透明人間。
騒がしく通り過ぎて逝く人混みの中で
僕丈が色を持ち合わせていない事に気が付いた。
何色にも染まらない・・・。
そう言えば、聞こえは良いが
何の色も持ち合わせては居なかった。
蹲った僕の事を
丸で、僕が其処に存在しないかの様に
通り過ぎる人々。
ボクハ、トウメイ ニンゲンナノカ。
若しくは、其れに等しい物。
そうなのだろう。
否。
其れ拠りも質が悪い。
僕の存在は、其々の彩色を持ち合わせている他人に
別の絵の具が落ちる如く斑紋を広げる。
ユックリと、何処迄も広げて逝く
其の鮮やかな色を汚してしまう。
此の様な存在なら存在すらしなければ良かった。
然し、そんな。
存在しなければ良かったという精神的断言は
僕が存在したからこそ
言う事の出来る事。