門。

夏目漱石の門という小説に以下の様な文章がある。

 書物を読むのは極悪う御座います
 有体にいうと、読書の妨げになるものは無い様です。
 <中略>
 人の勇気を鼓舞したり
 激励したりするものが宜しゅう御座いましょう
 其れだって、只刺激の方便として読むだけで
 道其の物とは無関係です。

新潮文庫頁261拠り引用。
宗助が知人の紹介で寺に入った時に
修行僧に言われた言葉である。
書物を読むというのは実に悪い事だ。
僕もそう思う。
例えば、ヘーゲル精神現象学やカントの3大批判書。
其れ丈では無い。
哲学書は特に悪い書物だと思う。
自分の思考を洗脳されて仕舞う。
著者の思考が恰も自分の考えかの様に勘違いを起こすかも知れない
まぁ、如何しても気晴らしに読みたいというのであれば
普通の小説を読むべきなのだ。
然し、其処にだって著者の哲学が垣間見えない訳ではないが
毒が少ないという事なのだ。
本を読む事で自分の純粋(?)な思考は汚染されて行く
すると、其の先に自分が考えたと思っている事が
自分の考えではなくなって仕舞う。
だから、良くないのだ。