判然言って君の存在は私にとって不愉快極まりないが・・・。

君の言動は甚だ不愉快だ。
実に不愉快極まりない。
出来る事なら此の不愉快の原因を探り出して
此処に示したい所だが
私には其んな事に時間を費やす程暇ではない。
何せ私は此れから紅茶に角砂糖を何個入れるかを
考えなくてはいけない。
何せ私は此れからナポリタンの様な夕日を見て
黄昏なくてはいけない。
何せ私は此れから道を散歩して
胡瓜を拾わなくてはいけない。
実に忙しい。
嗚呼、分かったぞ。
君の言動が甚だ不愉快な訳が。
其れは、君と云う存在が私の前にあるからだ。
否。
今、私の前に有るからではない
君と云う存在を私が認めて仕舞っているからに違いない。
君が如何言動を正し
思考をママーレモンで洗浄した所で
君の不愉快さは屹度拭う事は出来ないであろう。
何故なら、君は何かに属して不愉快なのではなく
君の存在自体が不愉快だからである。
君は私にとって
言動が不愉快な訳ではなく
思考が不愉快な訳ではなく
精神が不愉快な訳ではなく
体格が不愉快な訳ではなく
性格が不愉快な訳ではなく
足の臭さが不愉快な訳ではなく
目鼻立ちが不愉快な訳ではなく
クサヤ以上の体臭が不愉快な訳ではなく
髪型が不愉快な訳ではなく
紅茶党ではなく珈琲党なのが不愉快な訳ではなく
センスのなさが不愉快な訳ではなく
セスナ機の運転が出来る事が不愉快な訳ではない。
君の存在。
其れこそが不愉快なのだ。
  
  
否。
其うではない。
其れを不愉快だと認識する私の思考其の物が不愉快なのだ。