何故、其んな重大事件に僕を誘って呉れなかったのだ。僕なら・・・。

テレビのニュースがバスジャックを報道した。
僕は心疚しかった。
でも、悔しかった。
何故、僕は其の現場に居合わせなかったのだろう。
何故、僕はこんなにも安全の範囲内を越す事が出来ないのだろう。
中途半端な傷害事件に巻き込まれるのは勘弁願いたい。
只、其処に死が待ち受けている現場なら
僕は歓迎しよう。
誰かの為に犠牲に成って死ぬのなら金だって出す。
僕は誰かに殺されたい。
其うすれば、自殺なんてしないで済むだろう?
其うすれば、正当な理由で死ねるだろう?
僕は、死んで仕舞いたい。
誰かに殺されて仕舞いたい。
スタンダールの恋愛論にある様に。
僕を即死させてくれる人が居たら僕は感謝をするだろう。
尤も、其んな時間が残されていればだけれど。
何故、僕は生きていかなくてはいけないのか?
不合理さを完結させる尤も素晴らしい手段は
自殺する事だ。
其れ以外に何も無い。
酸素と水素を一定の条件化で反応させれば
水が必ず出来ると信じている輩に
宇宙の真理なんて解かる訳がない。
概念が違うのだ。
感情を言語化しようとする輩に
人間が生まれた真理なんて解かる訳がない。
何故、僕は生まれたのだろう。
況や。
生まれていないのかも知れない。
存在していないのかも知れない。
だとしたら、此の苦痛は一体何処から
生まれ増殖し繁殖しているのだろうか。