ネガティブイオンは決してマイナスイオンじゃないし其の逆も亦然り。

彼は、自分が冷たい男だと思っていたし
亦、其うありたいと願っていた。
其れは、子供の頃からの大切なものを喪った時の
経験から築き上げられた防波堤の様なものだ。
文鳥も、モルモットも、犬も、猫も、皆
最後には死んで仕舞った。
其の時の悲しみが耐えられなかった。
何も愛さなければ失うものはない
其れが人間の「洗練」というものだ
と、彼は信じたかったのである。
テレフォンカードの様な薄弱さと
ドーナツの様な幼稚さに、呆れながらも・・・
彼は烏の嘴みたいに頑固に
未だ其う信じている。