あの良く解らない銀行のシステムは如何にか成らないのか。

其れは丸で偏向性を持つアミノ酸の様に
互いの構造は素晴らしく類似している
でも、其の構造には致命的な欠陥が有る為に
互いは互いを重ね合わせる事が出来ないのだ
 
屹度、僕等の関係も其うだろう?
お互いは、お互いに良く似ている
だから、僕等は互いに惹かれあったのだろうし
お互いが良く似ているが為に
同じ道を歩む事は出来ないのだ
 
路を歩きながら僕は其う君に呟いて見た
 
其の構造を更に喩えるのなら
僕はD型で君がL型なのだろうね
 
すると、君は賺さず此う返答をする
『貴方は生命体には何の役にも立たずに
 私丈が役に立つ…
 之の例えを世間レヴェルに拡張す冪なのかしら?』
 
何時も何かを語り掛ける時
僕は『君』と呼び
君は僕を『貴方』と呼ぶ
其れが僕等にとっての敬称だったのだろう
 
君の愛していた形而上絵画の画集を古書店で見付けた時に
不図、其んな事を思い出して仕舞った
  
僕と君が喧嘩をすると
君は、よく僕を街へ連れ出して
普通の恋人の様に振舞う何て云う意地悪をした
一般論的な恋人との関り方が苦手で苦痛な僕は
何時も苦虫を噛み潰した様な顔をしていた
 
其う云えば僕のコートのポケットに手を突っ込むのも好きだった
 
一冊の本を開いた丈で
何故か其処からは君の思い出が溢れ出て来る