否定。

僕は人間の誘いを巧く断る事が出来ない。
他人の誘いを無碍にする事が罪だと感じるから。
他人の誘いを無碍にする事は否定する事だと思うから。
だから、若し指定された日時の予定が無理でも
代わりの日時を即座に提案する。
顔を合わせる頻度が高ければ高い程
僕は拒否する事が出来ない。
亦、尊敬する人程拒否する事が出来ない。
でも、僕は自分の時間を他人に提供する事に
とても嫌悪感を覚える人間です。
然し、例外的な人間が数少なく居ます。
そんな人は紳士淑女的で控え目で
他人に他人の時間を提供してもらう事に対して
非常に謙虚に成る人間です。
そんな人は例外です。
僕は、其れ以外の他人からの誘いに対して
如何しても断る事ができない。
僕にとって断る事は相手を否定する事の様に感じるからです。
他人の存在を否定する事が僕には苦手です。
使い方を間違えると他人を大いに傷付けて仕舞うからです。
其れと同じ理由で僕は誰かの話に突っ込みを入れることも苦手です。
僕が出来るのは只管頷き相槌をうつこと。
其れだけ、肯定も否定もしない。
勿論、拠り一層高級な人間関係を構築する為には
相手を否定する事。
其れ等の行為が必要であろう事は知っている。
然し、僕が高級な人間関係を持つ事を望んでいない事も亦事実。
僕にとって、人を否定するには大した勇気を有する。
然し、僕を遊びや飲みや食事に誘う他人が
其れ程の勇気を使うに値する人間ではないから
僕は、他人の誘いに対して断る事が出来ないのだな。