夕暮れ。

毎日・・・同じ事の繰り返しをしている。
此れと言って喪うものも無ければ得る物も無い
音が殆ど無い
120秒の世界に僕は生息する
何かを喪っているのかもしれない
だけれど完全に喪ってしまった後で
僕は一体何を喪ったのかを知る事が出来ない。
深い・・・深い水の奥底で微かに呼吸をして
僕は眼を閉じたがる。
僕が寄生している此の体は一向に其れを認め様としない。
欺瞞的に成る。。。
すると、全てを解かったような気になった。
深く眼を閉じる。。。
水の奥底に戻された様な心持になる。
電子手紙の拝受を知らせる機械的な音が
携帯型電子演算機から漏れる
僕は・・・多分現実であろう世界に戻された。
窓を開けると蝉が生を貪っていた
空が流れていた
太陽が僕を照らし出した
扉を開けなくては埋けない。
進まなければ埋けない。
僕の体は急かす。
進め進めと蟻の行列の様に急かす。
僕の体は僕を急かす。
扉を開けて空を見上げ
蝉が生を貪るのを目の当たりにしろと云う。
こんなにも無機質な世界を
僕は・・・。
彼の時の様に急かす僕の体は。
必死に否定する。
だけれども・・・。
其れで良いのかも知れない。
僕は扉の取っ手に手を掛けた。